ワタクシはお酒が一切、飲めません。若かりし頃はイチサラリーマンのたしなみとして呑もうと努めたことがありましたが、これが全くダメでして。ビール1口で赤くなる、気持ち悪くなる、眠くなる。翌朝もろくな気分にならない。ってことでキホン、飲みません。

そんな私ですが(そんな私だからか)、バーはいくつになっても憧れの場所です。村上春樹の小説の主人公のごとく、行きつけのバーの片隅に一人座って、「マスター、いつものやつ、お願い」とか言って煙草にシュッと火をつける(僕は煙草も吸いません)。そんな時間を持てたらなと憧れていました(憧れつづけてもう40歳)。

こじらせたワタクシですが、昨年末、仕事仲間が一夜限りのスナックをやるからお前も来ないか、と誘ってくれました。上のような妄想が頭にこびりついていたからか「じゃあ、僕はバーテンをやる!」と口を滑らせていました。バーもスナックもろくに行ったことがないため、スナックにバーテンがいるのかよくわかりません(たぶん、いないと思う)。

そんなわけで昨年末と今年の年末、人生において2回ほどバーテンダーをやらせてもらいました。これが、すこぶる楽しい。1回だけで終わるかと思ったら今年もできたので、おそらく来年も…。そんなわけで下戸バーテンダーの心得とハウツーをまとめてみることにしました(誰が参考にするのか…)。

昨年の「スナック」の様子:スナック泰子

1)無知を知る
自分がバーテンダーの何も知らない(ただの妄想だけ)ということをまず知る。これ大事です。無知の闇に光の道筋をつけてくれるのがマニュアル。これがお勧めの1冊です。バーテンダーの心得、お作法、レシピ、お酒の歴史、デコレーションまで。これ一冊で初心者でも網羅的にバーテンのイロハがわかります。まさにバイブル。まずはこれを手にするべし。

2)道具をそろえる
バーテンダーといえばシェイカー。シャカシャカとお酒を振る姿にあこがれを覚えるわけですが、上のマニュアルをみると、「シェイク」はお酒をつくる手法のひとつ。基本的な手法は「シェイク」のほかに「ビルド」と「ステア」というのがあります。この3つの手法を実践するのに便利なセットがあります。本当に便利な世の中。なんでもアマゾンでそろいます。「シェイカー カクテル セット」とかで検索すると出てきます。そんなに高くないのでこのセットを買ってしまうと便利。

シェイカーとお酒を計量するカップとかき混ぜるスプーンがついてきます。あと2つ道具がついているのだけど使ったことがない…。

あとこれ。ミキシングカップ。これはステアをするときに使うもの。

3)衣装をそろえる
バーテンダーは清潔感がなければならん、とマニュアルに書いてあります。やはり白いシャツ、ベスト、蝶ネクタイは揃えたいなぁ(妄想です)。僕の場合はたまたま、祖父が着ていたフォーマルな一式が実家にあったため、一式を着て、ヒゲをそり、爪を切って、髪の毛は7:3にそろえ、お店に立ちます。

4)メニューを考える&レシピをつくる
これがバーテンダーの一番面白いところ。スナック泰子は知人中心の完全予約制でして…(なんだそりゃ)。来店者の顔ぶれを事前に把握できています。せっかくなので、来店者のイメージにあわせてカクテルをつくります。が、当然、下戸バーテンダーは自分でオリジナルカクテルをつくる知識も、経験も、技量も持ち合わせておりませぬ。

そんなときはマニュアルとネット検索です。世の中には本当にたくさんの、面白い名前の付いたカクテルがあります。グーグルで「カクテル レシピ」と検索するとレシピサイトが複数でてきます。また、僕のバイブル「新バーテンダーズ マニュアル」にも巻末にレシピ集がついています。

そんなレシピをめくりながら、お客様のゴロがあったりイメージがピッタリだったりするネーミングを考えます。特に味とかそういうのは考えずに、ただネーミングありきで…。

こんな感じ↓

5)材料をそろえる
レシピがある程度できたら、材料をそろえます。ドン・キホーテが結構品ぞろえがいいです。あと、アマゾン。この2つでだいたいそろう。そろわないようなマニアックなお酒が必要なレシピは変更するか、似たようなもので代替する(お酒の知識がないのでだいたいのイメージでよし)。

そろえ方はだいたいこんな感じ↓
ベースとなる蒸留酒:ウォッカ、ジン、ラム、テキーラ、ブランデー
 ※これはだいたいどこでも売ってるのでさくっとそろえる(安いのでOK)
一緒に混ぜるリキュール:これはレシピにあわせてそろえていく感じ。色付けのがあると盛り上がる。ブルーキュラソー(青)、ペパーミント(緑)など
一緒に混ぜるノンアルコール:ライム、レモン、グレナデンシロップ、グレープフルーツジュース、オレンジジュース

添えるフルーツ:レモン、オレンジ、チェリー、ライムなどレシピにあわせて。あとフルーツを刺すピックなども。

お酒類は使いきれなくてもとっておけるので思い切って買っちゃってOK。僕は自分で飲まないので使い終わったお酒たちは箱にいれられて押し入れの奥底で眠ります・・・。ノンアル系は使い切るつもりで。グレープフルーツ、レモン、ライムあたりはよく使います。

6)メニューをつくる
雰囲気を盛り上げるためには作ったオリジナルカクテルのメニューが見て取れるのが一番。メニュー作りのこのサービスが便利です。テンプレートがたくさんあるからイメージにあわせてつくれます。
Canva
 
7)シェイクの練習をする
僕はカクテルづくりはぶっちゃけ、ぶっつけ本番です。なんせ、練習しても自分でおいしいのかまずいのかよくわからないから、チューニングができない…。なので、味はよくわかりません(ひどい開き直り)。ただ、バーテンダーとしてのスタイルは確立したい。格好よく店に立ちたい。そのためにはシェイクの練習が必須です。youtubeで「シェイク カクテル」と検索するといろいろ出てきます。それをみながら、シェイカーに氷と水を入れて練習しましょう。

いくつか見た中で一番わかりやすくて参考になったのがこちらの動画。

8)レシピのあんちょこをつくる
当日、バーに立った現場でスマホを見たり本を見ながらカクテルを作ったら恰好悪いです。なのであんちょこが必須。カクテルの作り方は基本的にすごくシンプルで以下の2つが分かればなんとかなる。
1)材料の分量
2)つくりかた
 ・シェイク:シェイカーで振る
 ・ステア:ミキシンググラスで混ぜる
 ・ビルド:グラスで軽く混ぜる
なので、上記をレシピごとにメモに落とした紙きれをポケットに忍ばせておきましょう。
 
 
あとは当日、お客さまと楽しくしゃべりながらカクテルをつくればあなたは立派な下戸バーテンダー!下戸バーテンダーの大事な心得は真心をもって、お客さまのひとりひとりのことを思ってカクテルをつくること。技術ナシ、知識ナシなので味については責任を一切持たない、持てないので…。

スナック泰子のママがワタクシについてこんな風に評してくれました:
心には自信あり。味には定評無し。

いいんです、それで。お客様の笑顔が見られれば!もとい、僕自身が楽しいから!