今日は原っぱ大学千葉リトルのフィールドデー。久しぶりに即興の小屋づくりをやりました。

建物を作るとなると設計図を作り、材料の目安をたてて材料を手配、となるのが基本だと思いますが、原っぱ大学ではその段取りは踏みませぬ。まず適当にありものの材料をかき集める。次にどんどん手を動かす。成り行き、行き当たりばったりで形が出来上がっていく。

この設計図なし工法のいいところはいつでも作業する人が入れ替われること。入れ替わった人がそれぞれの思い、智慧をだすことにより思ってもいない家ができること。

今回の材料は以前、イカダづくりの企業研修をやった際に余った角材と小さなパレットの残骸。このパレットの残骸が壁面に、角材は屋根にとなんとなく僕自身はイメージをつけておきます。

即興小屋づくりを仕掛ける側(今回は僕)の妙は、設計図はないといっても、自分である程度、どんな形にするかイメージはもっておくことです。そしてある程度、そのイメージに向けて形にするべく手を動かす。

なぜなら、人はなかなかゼロベースで発想ができないから。「家を作るぞー」といっても何もない状況だとどのぐらいのサイズのどんな家ができるかまるでイメージが湧かず、なかなか手が動かないから。

だから、ゴールイメージに固執する必要はまったくないのだけど、最初の段階はゴールイメージを自分の頭のなかにもっておいてせっせと子どもたちを大工さんとして使って構造を組み立てて行っちゃいます。

大人は全体像が見えないと動けない。子どもは全体像とか知ったこっちゃないけど。子どもはあまりに全体像を意識しないから「建物」を作るときに子どもに任せっぱなしにしておくとどこにもたどり着きません。そういう方向でやるのもありだけど、「建物」を形にしたかったらある程度、自分のイメージに寄せて動いてもらうのが手っ取り早いです。

大工道具に興味ある子どもは必ずいるので、そういう子にインパクトやトンカチを持たせつつどんどん進めていきます。そうするとだんだん、人が寄ってきます…。

今回はパレットを組み合わせて壁を作る。ぐるりと箱型が出来上がるころには子どもたちは飽きて(もとい、満足して)散っていきます。大抵、そこに残るのは大人と、こういうことが大好きな少数の子ども。

あとはじっくり、構造の補強を手を動かして考えながら組み立てていきます。そして、このころには「こういうことが好きでそれなりの経験もある人」が自分の経験で発言をしだします。その人にリーダー権を渡してしまうとあとは勝手に盛り上がって進んでいきます。しめしめ。

今回はそんなリーダーがとある参加者のおじいちゃん。付き添いで一緒に来ていたのだけど、道具の使い方、構造補強の入れ方、子どものサポートがいちいちお上手。たぶん、プロではないのだけど、モノづくりの経験が豊富なんだろうなぁ、と思う。


おじいちゃんの手。かっこいい。

うちの父もそうだったけど、僕らの父親世代の人たちはモノづくりが今よりも身近だったのだろうし、身体で覚えたモノづくりのスキルは年月が経っても身体から抜けないのだろうなぁ、と思った。

キレイに三角屋根の構造ができあがりました。

今回はここまで。一番大事で手間がかかるけど地味で子供の興味が向かないのがこの構造づくりの工程。それがしっかりできたから、この家はきっといい家になる。次回のフィールドの時はまたそこらへんの親子を集めて壁と屋根を貼って色を塗ったらとりあえず家として完成かな。